革ジャンに最高のメンテを

オイルアップ手順(革ジャン編)

レザー製品を末永く愛用する上で、必要不可欠な作業が定期的なメンテナンスになります。
「シミになったらどうしよう?」「メンテナンス手順が判らない」等とお困りのお客様へ、日々工場内で作業を行っている基本的なメンテナンス方法をご紹介させていただきます。
作業手順はスムースレザー対象で、スエード・ムートン等の起毛革は除く。


皮革用メンテナンス剤について


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作業を進める前に、どのようなメンテナンス剤を使用していいか解らないお客様が多いかと思われます。販売店に行っても様々な製品があり過ぎて、困ってしまいます。
使用目的をはっきりと決め、解らない事があったら、販売スタッフやレザーに造詣のあるご友人に質問してから購入をお勧め致します。製品との相性もあるので、十分に取扱説明書もお読みください。


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上記製品類は、オイルアップ=保革(油分補給など)を目的に販売されています。
クリームタイプ~リキッドタイプまで様々な製品があります。中にはスプレータイプもございます。正しくお取扱いいただければ、どの製品も効果が期待できます。
無難に対応できる製品として、クリームタイプ(半固形)をお勧め致します。製品によっては、クリーム自体に色が着いている商品もあり、2色以上の配色柄製品に適しているナチュラル色単色(黒)専用のブラック色が存在します。
リキッドタイプの場合、革への浸透性が強い為、染みや色ムラが生じ易い傾向にあり、一般の方が使用するには少々難しいかも知れません。クリームタイプであれば、革の表面(銀面)を滑らせる事ができ、オイル塗布する際の量もある程度調整できるかと思われます。


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リフレザーで頻繁に使用している保革剤「コロンブス社製レザークリスタル(ナチュラル色)」  
カドヤ直営店、通販でお取扱中!http://www.refleather.com/goods/#87
含有成分に違いはありますが、類似した製品として「ラナパー」や「マスタングペースト」等々でも結構です。
最大のメリットは、ミンクオイルのようなベタツキがなくオイルアップできます


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皆様ご存知のミンクオイル。
ミンクオイルは油脂分が多く含有され、革を柔らかくしたい場合(硬式グローブなど)に効果的です。ご注意願いたい点は、過度にオイルを入れ過ぎるとシミやベタツキが生じ、空気中の埃や塵も吸着し易くなります。保管状況が悪いと、カビ発生を促進させてしまう傾向にあり、肌と接する「衣料革・バッグ類」等はお勧め致しません
ブーツ類は基本的にお勧め致しませんが、「ステッチ糸(針穴)の防水性」や「部分的な硬さ軽減」等で局部的に使用される事はお勧め致します。


前準備


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オイルアップに必要である代表的なアイテム類として、
「ウエス、タオル、ブラシ、保革剤(&スポンジ)、撥水スプレー」等々


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撥水スプレーは、含有成分(フッ素)をお勧め致します。
通気性が損なわれないメリットがございます。
*添付画像「製品名:コロンブス社製アメダス」


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銀面(革の表面)は、人間の肌と同じで均一ではありません。
スムーズにオイルを伸ばすには、突っ掛かりの無いように縁をカットすると良いです。


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【重要】
本作業前に必ず行って頂きたい処理が、プレテスト(事前テスト)です。
前述でもお伝えいたしましが、皮革用メンテナンス剤は万能ではございません
革質との相性や、塗り方でもその仕上がりは様々です。袖口や裾見返し、ポケット中などの目立たない部分で、プレテストを行い様子を見てください。「シミや色落ちが生じないか」「どの位のオイル量が適しているのか」等の判断基準となります。
本製品は、スエードやヌバック等の起毛革への対応不可となります。


本作業


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最初の作業として、付着している汚れを落してください
いきなりオイルアップをしてしまうお客様がいますが、汚れ除去が先決です。
凹凸感のあるパーツは、ブラシ掛け対応。平坦な銀面パーツは、水(ぬるま湯でもOK)を用い硬く絞った濡れタオルで、製品全体(または汚れが目立つ部分)を優しく拭き上げでください。
裏地も処理するとより清潔感がキープできます。裏地は、少量の中性洗剤を混ぜた水溶液を用いて、レザー面と同様の処理方法で対応。
浸透性の強い革質はご注意ください!水シミとして残留する場合があります。
頑固な汚れは無理して擦らないでください。


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スポンジにオイルをつけたら、手の平で円を描くように優しく擦る(こねる感じ)で馴染ませてください。オイルのつけ過ぎは、トラブルの要因でもあります。この作業は非常に重要であり、一連の流れで覚えておくと良いです手にオイルが付き過ぎていると、製品を取り回す時に思わぬシミとして残留する可能性があります。小まめにタオルで拭き取ってください


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銀面の上を滑らすように製品全体をなるべく均一にオイルアップしてください
銀面が擦れている(毛羽立ち)部分は、軽く叩きながらオイルを浸透させても良いです。

【補足】
作業台の上(平置き状態)でオイルアップされる方が一般的だと思います。
個人的には、ハンガー掛け状態での作業を好みます。
特に浸透性の強い革質を取り回す際は、手やテーブル台に付着しているオイルが製品と接することで新たなシミが生じる可能性があります。
手に付着している余分なオイルだけ留意いただければ、上記トラブルが未然に防げるかと思われます。ハンガーフックが回転するものであれば、より効率性が上がります。
やり方は個人差がありますので、あくまで参考として頂ければ幸いです。


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(*左上画像)ファスナームシには蝋を擦りつけておくと、スライダー移動がスムーズになります。
(*右上画像)事前に汚れを防ぐうえで、撥水スプレーをする。
特にブーツ、バッグ類は汚れが付き易いアイテムです。定期的(できれば使用毎)に行うことでより撥水性が期待できます。


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オイルアップ完了後、風通しのよい日陰で十分に自然乾燥
保管時には、不織布カバーのご利用をお勧め致します。通気性が損なわれず、防塵、色移りを防ぐメリットがあります。
長期間放置する事はトラブルの原因に繋がり易いです。できれば1~2ヶ月毎にクローゼットから出して、新鮮な空気に触れさせることをお勧めいたします。


オイルアップ手順は、革質や製品形状、そしてお客様の嗜好によっても左右さるため、様々な手順があって良いと思います。
レザー製品の代表的なトラブル事例として、「カビや臭い」などが挙げられますが、メンテナンス時のトラブル(特にオイル過多によるシミ露見)等のお問合わせも数多く承ります。それらトラブルを事前に防ぐ上での留意点赤字で記しましたので、一読頂いたうえで作業を進めていたたけると幸いです。
メンテナンスされているレザー製品の経年変化は、素材本来のアジとなるでしょう。
その他ご質問等がございましたら、お気軽にリフレザーまでお問合わせ願います。


以上、ご一読ありがとうございまいした。